国立大学法人
機器・分析センター協議会

文部科学省「設備サポートセンター整備事業」のスタートに際して(平成23年10月28日)

近年,国立大学法人等における大型教育研究設備等整備にあたっては,学内外共同利用を併せて推進することが求められています.こうして整備された教育研究設備等の共同利用サービスを長期に亘り安定的に提供するためには,常時良好な状態で維持管理する必要があり,そのためには,「稼働状態を把握・調整できる維持管理要員」と「稼働のための維持費」,「数年に一回程度の大規模メンテナンス費用および修理費用」の3条件の確保が不可欠です.しかし,大学で共同利用機器の管理運営に携わっている「機器分析センター」で構成される本会議のアンケート調査では,これらの「3条件の確保」を解決すべき問題点として掲げる施設が,回答の8割以上に上っています.

特に,機器の維持管理要員については,大学全体の人員削減に加え,「任期制導入」による教員流動化のため,共同利用機器の維持管理を行える若手教員の確保が難しくなったことにより激減しています.各大学が,機器の維持管理に関して十分な技術を有する要員の確保に苦慮していることは,本会議のアンケート調査の結果でも明らかで,その解決は急務となっています.

このような状況下,各大学においては機器の維持管理要員確保の方策として,

  • 技術職員(定員)の効率的運用システムの確立
  • 非常勤職員及び特別契約職員の有効活用システムの確立
  • スーパーユーザー(分析機器の取扱いに習熟した大学院生等)養成システムの構築

といった努力がなされています.しかし,定員の効率的運用システムの確立に必要となる大学の組織改革は,多くの大学で極めて困難な状況が続いています.また,非常勤職員及び特別契約職員として雇用される定員外職員も多くは任期付きの採用となっているため,長期に渡る安定的な維持管理は行えないのが実情です.よって,定員の代替雇用だけではこの問題の根本的な解決を図ることができません.

 他方,文部科学省においては,今年度より「設備サポートセンター整備事業」が進められています.大学は,機器分析センターが抱える上記3条件に関わる課題の解決を支援する手段として,本事業に大きな期待を寄せています.

 以上を踏まえ,本会議は,「設備サポートセンター整備事業」を最低でも現在の4〜5倍の規模(24〜30校体制)まで順次拡充いただくとともに,技術職員の効率的運用システム等の大学組織改革を推進するための具体的措置を講じていただくことを文部科学省に対し強く要望いたします.

平成23年10月28日
国立大学法人機器・分析センター会議